ペインクリニカルセンター 〒170-0005
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臨床レポート

第10回 臨床レポート 

テーマ 「リハビリ」

今回は、リハビリをテーマにしてお話をしてみたいと思います。

AKAという治療法は、元々がリハビリを中心として開発をされてきた経緯がございます。関節運動学の理論を取り入れた関節に優しいAKAのリハビリ法をもっと病後のリハビリに有効に活用して欲しいと願ってやまないのです。


東京都在住 Oさん(60代) 女性

Oさんは、既に4年に渡ってお付き合いしていただいている私の大好きな患者さんのお一人です。

私の体の半分ぐらいしかない(私が大きすぎるのかもしれませんが・・・)小柄な方でいらしゃいますが、いつも元気な大きな声で「先生、こんにちは。Oです。」と言って入っていらっしゃいます。そのお声を聞くだけでこちらまで元気になってしまう、本当に不思議な魅力を持った方でいらっしゃいます。
また、Oさんとは不思議な御縁がありまして、今の私の治療院のある場所の直ぐ傍で幼少時代を過ごされた経験をお持ちの方でもいらっしゃるのです。

「先生、この治療院の入っているビルの横を走っているチンチン電車の踏み切りにはね、昔は遮断機を上げ下げするおじさんがいたんですよ。線路の脇に小屋があってそこで寝とまりされてたんですよ。」などと言ったような、この南大塚界隈の昔のお話などを聞かせていただくことがあり、良き時代に思いをはせさせていただくことがよくございます。

そんな陽気でとてもチャーミングなOさんですが、過去の病歴についてお話を聞きますと脳梗塞の手術、心臓の大手術、乳がんの手術をされ今現在も糖尿病と戦っていらっしゃる最中とのことなのです。

当院にいらしたのは、腰痛や肩こりがおありになっていらしたのですが、実際に治療を始めてみますと明らかな脳梗塞の後遺症と思われる右手の指の動きが不自由でもいらっしゃったのです。

「先生、糖尿病から脳梗塞になって以来右手が不自由で箸を取り落とすことが多くてね、人前で食事するのが恥ずかしくてしょうがないのよ。」と本当に困った様子でいらっしゃいました。お話をつぶさに聞きますと、術後のリハビリは運動療法始め、作業療法とかなり時間をかけて一生懸命にやられたそうです。「脳梗塞をやってから、3年も経ってますけど、これ以上は良くなることはないんでしょうかね。」と諦め顔で私の顔をご覧になりますので「触ってみた感じでは少し関節の周囲が硬くなっていますが、リハビリを兼ねて関節の中の動きをAKAの治療で良くなるように、とにかく一生懸命やってみますからね。」と申し上げました。

腰の仙腸関節も年齢相応の硬さがありましたが、それほど酷い状態というほどでは無い方でした。とりあえず、全身の関節を調べ動きの悪いところをチェックしながらAKAを施していきました。そして、いよいよ問題の右手周囲の治療にとりかかりました。確かに、右手首や指の関節が所々硬くなっているところがあります。丁寧に一つずつ関節にAKAのリハビリを施しました。特に、治療をしていて親指の動きの改善が著しかったので「Oさん。一度右手の指をにぎにぎしてみてください。」と申し上げました。

そうしましたら、「あら!先生親指がこんなに曲がるようになったわ。他の指もかなり動きが良くなりましたよ。まだリハビリが間に合ったんですね。」と歓声をあげられたのです。その後、3回ほど続けて同じAKAのリハビリを施しましたところ、きちんと握れなかった右手がしっかりと握れるようになり、箸もしっかりと持てるようになられたのです。Oさんの喜びようは本当に見ているこちらまで嬉しくなってしまう位のものでした。

握力がまだ完全に回復していないようでしたので、握力訓練用のプラスチック粘土をお取り寄せしまして、お時間のあるときに訓練をしていただくようにご指導させていただきました。今では、見違えるように右手の機能が回復されました。先日も「おかげで、先生パチンコ台のスロットルがしっかりと握れるようになったのよ。ありがたいわ。」とおっしゃいますので「あまり、環境の良い場所ではありませんから、健康のためにもあまり長時間やらないようにしてくださいね。」とたしなめなくてはいけない程にお元気になられたのです。

脳梗塞をわずらってから3年も経ってから改めてのリハビリでしたが、関節の内部の動きに注目をした適切なAKAのようなリハビリを施せば回復することもあるというよい症例になったのではないでしょうか。また、最初から関節内の動きに注目をしたAKAのようなリハビリを適切におこなっていればOさんのように長きに渡って不自由な生活を強いるような不幸な例も少なくなるのではと改めて感じました。

医療現場でAKAをリハビリに本格的に用いている所はまだまだ限られているようです。AKAの開発者の博田先生も「通常のリハビリでいくら筋肉や神経の機能回復を図ろうとしたところで、関節そのものの動きが無くなってしまっていたらどうしようもないでしょう。筋肉や神経のリハビリをする前に、関節内のリハビリをする事をまず先に考えて欲しい。その為にもプレリハビリとしてAKAをもっと活用して欲しいんです。」とおっしゃっているのです。

自動車のエンジンで言えば、エンジンのシリンダーがさび付いて動かなくなっているというのにもかかわらず、エンジンオイルを替えたり、ガソリンを替えたりして動かない、動かないと嘆いているのに等しいのです。関節は、まさにシリンダーです。動いてなんぼのものです。構造物そのもが物理的に動かなくなっているのにも関わらず、動かすための道具(オイルやガソリン、電気系統)である筋肉や神経を鍛えたり、動かしたりしているだけでは意味がないということなのです。関節が旨く動かない状態で、無理やり筋肉の力でストレスをかけるような事を続けていますと、場合によっては、関節そのものを破壊してしまう恐れもあるのです。

(悲しい現実ですが、病院内におけるリハビリの現場では、かなりの数に上る事故が起きているという話を良く耳にします。実際に当院に来院された患者さんの中にも「リハビリでむしろおかしくされてしまった。」と嘆いていらっしゃる方も少なくないのです。これも、立派な医療事故です。壊してしまった方からは「リハビリをやりすぎて。」などという意味不明の言い訳がよくされるようですが、実におかしな話です。「機能の回復を図る以前に関節の操作そのものの安全性にどこまで配慮した手法を用いているのか。」「今のやり方そのものに根本的に問題があるのではないか」というもっと基本的な部分を反省する必要性があるのではないかと思うのです。今の医療の世界でリハビリと言えば「歩行訓練」と言われる位に、その分野では近年画期的な進歩を遂げているようです。しかし、たかが指の関節一つ かもしれませんが、不自由な動きしか出来なくなってしまえば、生活をして行く上で大変な制約を受けることになります。精神的にも大きなストレスとなります。患者さんが普通に日常生活を送る場面を想定したリハビリのあり方を今一度トータルで考え治していただきたいものだと思えてならないのです。)

言われてみてば、「どうしてそんな事に気づかないのか?気づいているお医者さんがいるのならもっと広めればいいじゃないの。」と思われるのが一般の方達の極めて自然な気持ちだと思うのです。しかし、それが直ぐには出来ないという現実がまさに今の「医療の現状を表わしている。」とも言えるのです。意地悪な言い方をすれば、「患者さんの為になりすぎること、早く治りすぎる事はやってはいけない。」とでも考えているのかと思いたくもなってしまうのです。20年以上に渡って臨床データを積み上げ、早期回復への可能性を示し続けてきているAKAそのものの扱いが未だに医療界では、殆ど無視されている現状ではどうしようもないのです。「医療は一体誰の為にあるのですか?」と極めて基本的な事を問い質したくなってしまうのです。

今回ご紹介しました、Oさんのように術後のリハビリで苦しんでいらっしゃる方が当院にも何人もいらっしゃいます。膝であったり、股関節であったり、と場所は様々ですが、AKAの適切なリハビリを施すことでかなり早期に回復される例をいままでにも沢山経験してきております。患者さんの為にもAKAがリハビリ現場にもっと普及して欲しいものだと思わずにはいられません。


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