要約する

AKAを要約すると、関節運動学に基づく治療法で、関節の遊び及び関節面の滑り、回転、回旋などの関節包内運動を改善する、治療技術です。

AKAは、1979年博田節夫医師により開発されました。 痛みの診断、治療手段として広く知られるようになってきています。

このホームページをご覧頂いている方々はその殆どが、一般の患者さん達だと思いますので、あまり専門的な医学用語を並べ立てて難しい説明をしたくありません。なるべく解りやすく簡単にご説明していきましょう。

よく動く関節といいますのは、関節包という袋がついています。その袋の中で関節は 滑ったり、回転をしたり、回旋をしたりという複雑な動きをしています。 たとえば内臓では、腸なども腹膜という膜の中でかなり柔軟な複雑な動きが出来るようになっていますが、それに似たようなことが関節包の中でも起きている、と考えていただければ理解しやすいでしょう。

関節の構造は、場所によってそれぞれ異なります。それぞれの関節のしくみを理解したうえで、その関節の動きに合った治療技術を用いることは言うまでも無いことです。また、関節の治療を行う上で重要なことは、関節には必ず一番緩んだ位置と一番締まって動かない位置というのがあります。 治療を行う時は、個々の関節の一番緩んだ位置で最小限の力で慎重に優しく扱うのが大原則となります。間違っても一番締まって動かない位置で、多関節に瞬間的に大きな力を加えるようなことは絶対にしてはならないのです。(頚椎のような一つ間違えると、生命の危機に直面するような繊細な場所には絶対に強い治療をしてはいけませんし、平成3年に厚生省から頚椎を強く捻るような治療はしないようにという通達が出ていますが、民間療法の世界では殆ど守られていないのが現状です。)

ここで最も重要なことは、「関節は矯正するものではなく、あくまでも関節包の中の機能をほんの少し改善するだけで十分である。」ということなのです。 正しい動きが出来るようなきっかけを関節に与えてやるだけで後は、その人の体に とって一番理想的なポジションを自然に体は取り戻していくのです。 そして、診断をする時も同様のことが言えます。 関節はあくまでも「個々の関節を動かしてどういった動きをするのか?」というのが 診断をする上での重要な要素となります。 体を静止させた状態で、「足の長さが違う」「背骨が曲がっている」「骨盤がゆがんでいる」「肩の高さが違う」などというのはなんの診断にもならないということがここで解ってくるのです。医学的にも最初から完全左右対称の人など誰一人として存在しないのですから、最初から医学的根拠など無いもっともらしい説明にはくれぐれも注意をしてください。

また、健康指導に関してもここで付け加えておきましょう。「仙腸関節」が本来の動きを失ってしまうと、「正しい姿勢がとれなくなります。」 そして、その状態で運動をしますともっと痛くなってしまいます。(誰もがよく経験をすることです。)この事実を踏まえて健康指導を考えた場合、世間で行われている健康指導は言ってみれば「本当の治療をする前にいきなり予防法で治しましょう。」と言っているような ものであることが明白になるのです。「正しい姿勢をとりましょう。」「正しく歩きましょう。」という言葉がいかに空々しいか。「運動不足です。」「腹筋・背筋をつけましょう。」「水泳をやりましょう。」「ストレッチをやりましょう。」「腰痛体操をやりましょう。」すべてが本末転倒なのです。

「仙腸関節」の特性・重要性、痛みを引き起こす根本原因であることを理解していればこのような健康指導は最初から出来るはずがないのです。 痛む体を無理やり動かしてストレッチや水泳に励む患者さんたちの姿を想像しただけでも、私としては胸が痛みます。 実際に、患者さんから「指導どおりにやったらもっと痛くなったので自主的にやめま した。」と言う話を私は何度となく聞かされていますし、その体験を直接医療関係者に訴えても全く理解しようとしないのです。患者さん達の方がはるかに実体験から自分の体のことをよく理解していると思うのです。やっても良いことと、やってはいけないことの判断を体は無意識に察知して壊れないようにする防衛本能が誤った健康指導から身を守ってくれたのです。

ここまでのお話をしましても、「いや自分は、関節を矯正する治療を受けて随分よくなった。」「ストレッチや腰痛体操、筋トレでよくなった。」とおっしゃる方がいらっしゃると思います。 それは、実に幸運にも関節包内の機能異常がうまく取れてくれたか、痛みが出始める 限度を理解出来るようになって体に無理をかけない習慣が身についてきたかのどちら かだと思うのです。 しかしながら、「仙腸関節」に関してはAKA以外の既存の治療技術では正確には機能異常を取ることは出来ないことは医学的にも明らかなのです。たまたま「仙腸関節」 以外の関節の機能異常が偶然にも取れただけでも楽になったんだと解釈をしていただくのが正しい解釈かと思います。

体に無理をかけたり、必要以上に疲労をためこむようなことが続きますと、必ずやまた 痛みが再発をしてくることは間違いありません。場合によっては、以前受けてよくなったという治療が一切効かなくなることも十分に考えられます。 関節を対象とした治療をしている者治療を受けている患者さんが誰でも陥り易い錯覚 なのですが、背骨を矯正していると偶然にも背骨の機能異常が取れ患者さんが喜ぶので、それだけで治ったと思いたくなるのです。

しかし、最初から関節包内の動きに焦点を当てたAKAのような治療をしているわけではありませんから、たまたま患者さんが喜んでくれてよかったという話か、 背骨の関節の機能異常だけを取っても楽になる程度の症状であったというだけの話なのですが、「これが正しい治療だ。」と思ってしまいがちですし、またそう信じてやってきた以上それが正しいと思いたくなってしまうのが人の常なのです。 また、もう一方のストレッチや腰痛体操、筋トレでよくなったという話は、「血行」を良くする手法を用いれば、手法がなんであれ痛みを感じなくなることは良くあるこ とです。(体を動かし始める前は、痛かったのに動き出したら痛みが消える。というのと同じ 事です。)ここに大きな誤解があるのですが、「痛みが消えた=治った」と思いたくなる心理が どうしても働きます。しかし、重要なポイントである『仙腸関節』は一切治療をしていないわけですからいずれは血行を改善する程度の表面的な治療では痛みが消えない状態になってしまうことは明らかなのです。 それがいつくるのかは誰にも解りません。(大地震を完全に予知できないのと同じ事です。) 偶然性に頼った治療や表面的に痛みを誤魔化す治療では根本治療とは程遠いものであることがご理解いただけるかと思うのです。

AKAで判明した「仙腸関節」の持つ重要性

初めて「仙腸関節」を対象とした治療を行うことに関しては、通常の西洋医学を学んできた者にとっては、大変勇気のいることだったと思います。 それは、「仙腸関節」が解剖学上「不動の関節」ということになっているからです。 解剖学の間違った思い込みを正すところか出発するわけですからこれは大変な勇気が 要ります。 しかし、過ちに気づいた時からそれは確信に変わり、臨床を積み重ねることで自信に代わっていったことは想像のつくところです。 そして、「仙腸関節」の治療を行うことで解ってきた重要な発見が幾つか出てきたのです。