三歳児,ぎっくり腰,,治療,仙腸関節,梨状筋,AKA

この話をしますと、「え~~、三歳の幼児がギックリ腰ですか???」と皆さん非常に驚かれます。しかし、ギックリ腰の本当の理由とメカニズムを知っていれば何も驚くことは無い極普通に起こり得ることだと言うことが理解出来るのです。

Sさんと言う、当院の近くにお住まいの患者さんがいらっしゃいます。御夫婦で治療にいらして頂いている方なのですが、三歳になる坊やも以前、ご両親の治療についていらしたことがあるのです。
待合室で、大人しく本を読んだりおもちゃで遊んだりして待っていてくれた事を良く覚えていました。

そんなある日、朝一番でお母様からお電話を頂きました。
「先生、朝早くからすいません。実は、家のKが突然立てなくなってしまって腰や足が痛いと言っているんです。近所の、整形外科に連れて行って検査して頂いたのですが先生からは問題ないと言われてしまいました。何とかなるでしょうか?」とご相談のお電話だったのです。
どの様な経緯でそうなったのか?詳しくお話を聞きますと、普通に遊んでいて突然立てなくなり足や腰が痛いと訴え出したと言うのです。それを聞いて「間違いなく、ギックリ腰だな。」と確信をいたしました。そこで「おそらく、間違いなくギックリ腰だと思いますから、一度お連れ下さい。まだ体が柔らかい子供さんですから、直ぐに答えが出ると思いますよ。」と申し上げました。

お電話があって30分後には、乳母車に乗せられてK君がお母さん、おじいちゃんと一緒にやって来ました。「こんな状態ですから、タクシーでこちらまでやって来ました。」とおっしゃるのです。おじいちゃまもとても心配そうです。
「じゃあ、K君。治療しようね。痛くないからね。直ぐに終わるよ。」と言ってベッドの上で横になってもらいました。ベッドに上がる時も、少し足をひきずって痛そうにしています。なにせ、三歳児ですからこちらの言うことは中々聞いてくれません。動き回るのでお母様に少し協力頂いてなるべく動かないように体を押さえていて頂きました。

小さなお尻ですし、仙腸関節もとても小さいのです。当たり前のことですが、しかし治療してみますと殆ど大人と変わりなく動きもとても滑らかでした。
ものの、5分もかからずに治療を終えて直ぐにベッドから降りて歩いてみてもらいました。

「あ~、ママ。痛くないよ。」と言いながら走り回っています。
いらした時は、足をひきずり顔をしかめていたK君でしたが、ものの5分くらいのAKAの治療で直ぐに回復してくれたのです。付き添っていらした、おじいちゃまも「え~~、もう治ったの。凄いねえ~~。」と目をまん丸にされて驚いておられます。
お母様は、ご自身が治療を受けた事があるので「やっぱり、私や夫と同じことだったんですね。以前、先生から色々とお話はうかがっていましたので、何となく理解してはいましたが、こんな小さな子供も大人と一緒なんですね。」と改めて驚いておられました。

「そうですよ。二足歩行するようになったら、誰でもダメージを負いやすい関節でもあるんです。その位に大切な関節であり、小さな時でも気付いたら直ぐに治しておくのがとても大切なことなのです。そんな事を知っている人は、殆どいませんしその重要性をこうして目の当たりにすることなどまず経験出来る方は少ないのです。K君は、その意味でもとてもラッキーな坊やだと思いますよ。」と申し上げました。

一週間後に、またお電話を頂「先生、またKがちょっと腰がおかしくなったようですが、治療にうかがった方がよろしいでしょうか?」とご相談を受けました。「お子さんのことですから、無理するなと言うのが無理な相談です。異常が治った後に直ぐ激しく動いてまたおかしくなりかけていると思いますので、直ぐにいらしてください。」と申し上げ、直ぐに治療にいらして頂きました。また、前回同様直ぐに回復してK君は何事も無かったように無邪気に院内を走り回っていました。しかし、それ以来再発することはなく元気に過ごされているようです。

治療の後の経緯を見ていますと、大人と全く変わらないと言う事が良くわかるのです。
仙腸関節にダメージを負った後に、治療して痛みから回復しても関節周囲のダメージは暫くは残っているのです。それが、完全に回復する前に動きすぎたり、無理に体を使いすぎると再度、関節レベルのダメージを引き起こしかねないと言うことは、年齢に関係なく起き得ることだと言うことが良くわかる事例でもあるかと思うのです。

「腰を痛めたらなるべく、若い内になるべく早くJMIの様な治療を受けて頂くと言うことが最良の方法である。」と言う事を、もっともっと沢山の方に知って頂きたいと願ってやまないのです。

関節レベルのアバウトな治療方法は、巷には沢山あります。
そうした治療で一時的に回復したり、痛みが軽減することは良くあることなのです。
物理的に関節をなんらかの方法で動かせば、痛みが軽減すると言うことは、関節運動学が出てくる前から、人間は経験の中で知っていたことなのですから。
しかし、問題はそうしたアバウトな治療が一切効かなくなったときどうするのか?と言うことなのですが、こればかりはそうした場面に直面したり、極めて不安な状況下に置かれて困り果てると言う経験をして頂かないと、本当のところはまずご理解いただけないことなのです。
そうした経験をせずして、一生を終われればそれにこしたことは無いのですが、そうは行かない状況になった時、次の手が直ぐに打てるかいなかで人生までも変わってしまう可能性があると言う事が現実にあるのです。
私も、今までにそう言う場面を何度も見て参りました。
「もっと、早くにこの治療を受けていたら、ここまで苦しい思いをせずに済んだと思います。仕事の上でのチャンスも逃がさずに済んだと思うのです。」と過去を悔やんでおられる患者さんに数え切れないくらいお会いしてきているのですから。

最初から、根本原因を突き、なおかつ正確な治療技術でしっかりと治しておくと言うことがいかに大切な事であるかを知って頂きたいと願うばかりです。