今年(H16)の1月から2週間おきに治療をさせていただいている患者さんです。
五十肩で左肩が痛く仕事も日常の家事もままならい状態でかなり苦しんでいらしたようです。上記の五十肩の説明でお話をした通り、Oさんも更年期障害の症状と思われる症状を自覚されており、御自身でも「更年期の症状があるように思います。」とおっしゃっていらっしゃいました。Oさんは、薬剤師さんであり通常のお仕事の後、プライベートでは遺伝子分析に関する論文を執筆されているという研究者でもいらっしゃる方なのです。医学に関する造詣の深さは並大抵の方では無いので、様々な角度からインターネット上でどの治療を受けようかとかなり沢山のサイトを精査されたようです。そして、最終的に当院の治療を受けてみようと決断されたようなのです。
JMIの理論に対する理解の早さ、深さの程はお会いしてお話をし出して直ぐに判りました。HP上の内容から殆ど理解されており、私が改めて御説明申し上げる事もそんなに無い程でした。また、物事を論理的に考え判断される力は素晴らしいものをお持ちでいらっしゃることもOさんのお話からよく伝わって来たのです。Oさんのような聡明な方に共通している特徴は、「事実」というものの重要性を大変よく理解されている点です。よく民間療法に見られるような想像だけで展開される理論らしき屁理屈の嘘を直ぐに見抜かれますし、きちんと臨床を重ねた事実に基くものしか持ちえない特有の凄みというものを良く理解されていると思うのです。私も、こういう患者さんにいらしていただき、そして評価していただけますと本当に心強く思いますし、大変自信にもなるのです。また、日頃から肩こりで悩んでいらっしゃると言う介護士を目指してこの春から学校に通い出した可愛いお嬢様にも御一緒していただきましてお二人同時に治療させていただくことになりました。
Oさんを、診察も含めて体全体の様子を診させていただきますと、やはり少し仙腸関節の動きが固くなっており、背中、胸の周囲の関節もかなり固くなっているのがよくわかりました。左肩は少し上に上げた程度でも悲鳴を上げられるような状態で、かなり炎症も強いなという事が良く理解出来たのです。
こうした状態の患者さんにいきなり関節の治療をしたところで、反応が非常に悪い事は経験上からも良く分かっておりますのでとにかくまずはマイナスイオンの電気治療で炎症と痛んだ細胞レベルの状態を活性化する事にしました。その間にお嬢さんの方の治療を先にさせていただいた次第です。Oさんも後でおっしゃっていましたが、いくら関節運動学が基にあるとは言え物理療法だけをやっているだけならば当院には来なかったと言うことなのです。整形外科を受診した時に五十肩に対する物理療法の限界を知ってしまい、少しでも早く良くなるためにはと考えた時に何かスペシャルなプラスアルファーが絶対必要だと経験上から思われたようなのです。ここまで私の意図した事や考えている事を深く読み取り理解していただけた事に大変感銘を受けました。また、薬剤師さんでいらっしゃるので、薬に出来る事の限界も良くご存知だからこそ出て来た発想だろうなと改めて感心させられたのです。
いよいよ、Oさんの治療に取り掛かりました。痛めていらっしゃる左肩の治療と扱いは慎重を極めましたが、なんとか無事一通りの治療を終え肩の感触を確かめていただいたのです。そうしますと、「あ~~凄い、動く動く。体全体が軽くなりました。来た時よりも左肩の可動域が明らかに広がりましたね。肩こりも随分と楽になりました。」と最初の治療にしては、期待していた以上の成果に大喜びをされたのです。Oさんが、「体全体が軽くなりました。」とおっしゃったのですが、実はここがとても重要なポイントなのです。治療と言いますと、ややもしますと痛い所だけを少しでも痛みを和らげれば治療した事にしがちですし、患者さんもそれで納得してしまっているケースが多いのですが、それは大間違いなのです。
人間は、体のどこかに痛い所を抱えますと必ず体の他の部分に異常な力を入れて痛みを軽減しようとする努力を自然にしてしまうものなのです。痛い所をかばっているうちに他もおかしくしてしまったというあれですね。当然ながら、不必要な力を入れている部分は後から必ず異常を訴えるようになります。腰痛の場合でも、後から必ず上半身の異常を訴えるケースが大変多いのです。こうしたことまで理解して、とにかく体全体を楽にするための方策を最初から取るのが正しい治療のあり方ではないかと私は思うのです。実際に、そうした方策を最初から取った治療をするのと、局所的な治療しかしない時を比べますと体全体を最初から視野に入れた治療をした方が遥かに治るスピードが上がりますし、また、予想もしなかった内科の面でも良い結果が同時に現れることが多々あり驚かされるケースがよくあるのです。
その後のOさんですが、いらっしゃる度に左肩も体全体も楽になられ2ヶ月後には肩こりは殆ど感じなくなるまでになられました。4ヶ月経過して、五十肩の左肩の状態も自然に腕を上げ下げするには全く問題なくなったのですが、まだ背中に腕を回した状態で上に上げる動作に少し違和感が残っていらっしゃいます。しかし、日常生活は治療前とは比べ物にならない位にしやすくなられ大喜びをされているのです。「散々探しまくって、遠くから通って来たかいがありましたよ。1月の状態を考えると嘘みたいですからね。先生の所に来てやはり大正解でした。」とおっしゃっていただけたのです。お役に立てて本当に良かったと思える瞬間でもあります。
御嬢さんも、肩こりは再発するものの以前よりはかなり楽になられたとの事で、月に一度お母様といらしていただいている状態です。介護の御仕事に今後就かれるとの事ですので、先日もこんなお話をしたのです。「介護現場に出ると、まず誰もが直面するのが腰痛との闘いなんですよ。腰痛にやられて、2,3年でギブアップしてしまう人も少なくないと聞いていますから、お嬢さんの場合は学生の時点でたまたまJMIという治療法の存在を知っていただけたので本当に良かったと思うのです。治療する側の私が言うのもなんですが、お母様によ~く感謝してくださいね。」と。Oさんは横でニコニコしながら聞いておられましたが、お嬢さんも良く理解して下さったようで「そうですね。」としみじみおっしゃっておられました。
介護の現場で日々格闘されている方の御苦労はいかばかりかと思うのです。
当院の患者さんにも、介護現場で働き腰を痛めていらっしゃる方、自宅での介護で腰痛を発症し困り果てている方が沢山いらっしゃるのです。介護施設を作って現場に既定の人数だけ送りこめばなんとかなると思っているような、机上の空論に終始する官僚的な発想ではとても現場は成り立たないという事を知るべきだと思うのです。現場の第一線で活躍されている方は、皆さん生身の人間であるという事をまず理解することが大切ではないでしょうか。介護される側も大切でしょうが、する方も一緒に傷つき倒れ時間をかけて育て上げた優秀な人材を短期間で失い、かつ人員の供給が追いつかないでいる。イタチゴッコのようなこの現実を直視し、介護する方の健康維持という事も同時に考えない限りは大きな意味での介護という福祉システムそのものが完結しないのではないかと私には思えてならないのです。
介護をする立場の方達にも、JMIという治療法の存在を知っていただき治療と予防の為に積極的に活用していただける日が来る事を願ってやまないのです。