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第13回 臨床レポート

テーマ 「真性の椎間板ヘルニア」

関節運動学に基づく研究成果から、「真性の椎間板ヘルニアで腰痛になる人は、腰痛で悩む人の1~2%に過ぎない。」ということが明らかになってきました。しかし、ゼロではないということですから悩んでいらっしゃる方がいる事も事実です。

今回のレポートでは、真性の椎間板ヘルニアの方にJMIを施すとどういう結果が出てくるのか実に興味深いレポートをお伝えしたいと思います。

東京都在住 Gさん(50代) 女性

Gさんとの出会いは、今の地で開業をする前の治療院に勤めていた時のことでした。腰痛 がかなり酷く、痺れもありつらくてしょうがないと訴えていらしたのを覚えております。たまにいらっしゃるのですが、腰椎が通常は5個のところGさんは6個ある方でいらしたのです。別にそれが、原因という分けではありませんがかなり前から腰痛 には悩まされていらしたとのことでした。

(哺乳類の骨の数は通常、頚椎が7個、胸椎が12個、腰椎が5個と決まっていますが時として、頚椎が6個であったり腰椎が6個あるケースがあるのです。余談ですが、キリンの首はあんなに長いから首の骨が20個位あるかと思ったら大間違いです。7個です。1個、1個が大きいだけなのです。ちなみにあの小さなネズミも7個です。)

治療の前の簡単な神経の検査でも、あまり反応が良くなく足に力も無い状態でした。病院からも「近いうちにヘルニアの手術をした方がいい。」と言われていらっしゃる通り、真性の椎間板ヘルニアであることは間違いない症状でいらっしゃいました。仕事との兼ねあいを考えながら時期が来たら近いうちに手術したいとおっしゃっていらっしゃいました。

一応、JMIに関する説明をさせていただきまして症状から判断して「真性の椎間板ヘルニアの場合はJMIと言えども全くの無効ということになりますので、劇的な効果は期待しないでいただきたい。」と申し上げました。その後、一連の治療を全ておこないGさんに様子をうかがいましたが「う~ん。痛みは変わりませんね。やはりつらいです。」とおっしゃったのです。予想通りと言いますかまさに、真性の椎間板ヘルニアには仙腸関節を主体としたJMIの治療は無効であるということを臨床で証明した形になったのです。

ただし、JMIには特別な電気治療と言うもう一つの切り札があります。とにかく痛みを軽減する為にも電気治療を主体とした治療に切り替え、少しでも痛みが減り手術までの日常生活がしやすくなっていただけたらという思いでその後も治療にあたらせていただきました。お仕事柄、PCと一日中にらめっこをされているようですので肩や首、背中にもかなりの疲労を訴えていらっしゃいました。肩や首の周囲への関節の治療が有効であることは言うまでもありませんが、電気治療と指圧がかなり効果があったようで手術までのつなぎの期間健康管理のお手伝いをさせていただくことが出来ました。

私が、独立開業してからもわざわざ大塚までお仕事の帰りにちょくちょく寄っていただきJMIの治療を継続されておりました。そして、いよいよ手術の時が来ました。リハビリも含めて3ヶ月後にやっとお会いすることが出来ました。退院されて、始めてお会いした時には腰痛 はすっかり消えうせ爽快な気分になられた様子でした。

お仕事にも復帰され以前にもまして激務をこなすようになられたのです。しかし、やはり腰痛 は戻って来たのです。それは、当然ながらヘルニアから来るものではなく「仙腸関節」由来の腰痛 が今度は襲うようになって来たのです。正確にもうしますと、ヘルニアからと仙腸関節からとの両方からの痛みがGさんには元々あったのですが、ヘルニア由来の痛みの方がはるかに勝っている状態でしたので気づかなかっただけなのです。

(この現象は、腰痛 だけでなく他の痛みでも良く散見される現象です。仙腸関節の異常を取り除きますと、まず大きな腰痛 の痛みが消えます、その後今まで痛くなったことなどない、「膝」や「股関節」「肩」「肘」などの場所が痛んだりすることがよくあるのです。この現象はまさに今回のGさんと同じで同時に実は痛めていたのですが、体が気づかせないように一番大きな痛み以外をシャットアウトしていたのです。体中いたるところから痛みが発生していることを全部自身の体に知らせてしまったら、全身の痛みで動けなくなってしまいますので動物としての本能がそうはさせない防御機能を発動していたと考えられるのです。)

ヘルニアの手術が済んだ後は、まさに仙腸関節由来の痛みが強く感じられるようになったというわけです。こうなれば、AKA並びにJMIの独壇場となります。今度は、直ぐに治療後効果が分かるようになり「先生の治療を知らなかったら、ヘルニアの手術をしたのにどうしてまた腰痛 になるのかと悩むところでした。本当によかった。」と喜んでいただいたのです。

Gさん以外にも、以前に椎間板ヘルニアの手術をされて、また腰痛 が再発して不安になり来院される患者さんが沢山いらっしゃいます。こうした現実に対して、今の医療は必ずしも患者さんが納得できる答えを提供していないのです。中には、レーザー治療を同じ箇所に2回も受けそれでも痛みが取れないと訴えると、別の場所に3回目をやろうと言われ逃げてきたとおっしゃる方までいらっしゃいました。果たしてこうした事が適切な医療行為と言えるのかどうか・・・・私には判断しかねるのですが常識的に考えますと「?」と思わずにはいられないのです。そういった現状への答えの一つとして、関節運動学に基づく治療法が提案している「仙腸関節の重要性」についてもっと医療現場が聞き入れてくれても良いのではないかと思へてならないのです。

Gさんは、「剣舞」という中々素晴らしい御趣味をお持ちでいらっしゃいます。真剣を手にして舞うという古来から伝わる日本の武道でもあり、伝統芸能です。つい練習に熱が入り過ぎると腰痛が出てくるという事をどうしても繰り返してしまわれるのですが、手術後はかなり御自信でも体のコントロールが出来るようになられ、今では月に1度いらっしゃるかどうかという治療期間でも済むようになれております。H14年末には、日本の代表としてロシアまで「剣舞」を披露に行かれると言う日露親善につくされる御活躍をされました。ロシアに行かれる前の集中練習でかなり、体中痛くなる思いをされたようですが毎週養生の為に治療にいらしていただき無事大任をはたされました。

Gさんとのお付き合いも5年以上になりましたが、「どうしようもなくなったら、先生の所に駆け込めば助かると思うと安心して仕事にも趣味にも打ち込めます。」とありがたいお言葉を頂いております。

患者さんと人生のある時間を共に共有出来、共に喜び会えることは本当にありがたく素晴らしいことだと思えてなりません。Gさんとの出会いは、私の臨床経験におきましても大変貴重な経験をさせていただきました。どんな治療法にも必ず限界があり、一つの方法で全てを納めきれることなどまず殆どないという教訓を改めて教えていただいたように思います。

東京都在住 Mさん(30代) 女性

Mさんは、都内の出版者で編集のお仕事をされている方でした。毎日、夜遅くまでお仕事に打ち込まれ10時間以上に渡るデスクワークが日常的な状態になっていらっしゃいました。腰痛に悩まされるようになり、何か適切な治療を受けたいという思いで当院のHPをご覧になっていただき何か感じるところがありいらしていただいたと言うことでした。

お話の内容からしますと、よくある腰痛の症状で別段変わった所はありませんでした。確かに、初回の治療から反応は良く「とても楽になりました。」と喜んでいただいたのです。その後、1ヶ月後にいらしていただく機会がありその後は半年近くお会いする機会が無かったのです。

半年程経ったある日、「実は、3日ほど前にギックリ腰をやってしまいまして、今日うかがってもよろしいですか?」とお電話をいただいたのです。早速にいらしていただき、拝見しますと明らかなギックリ腰の症状が強く出ていました。いつものように、JMIの治療を施し様子を尋ねますと「かなり楽になりました。来て良かったです。」と喜んでいただいたのです。炎症がまだ残っている状態でしたので、続けて次の週にもいらしていただきました。確かに、大きな痛みは消えましたが以前治療を受けた時のような晴れやかさが無いとおっしゃるのです。何かしっくりこない不安が残っているというようなお話を治療後におっしゃっていました。「実は、今回の痛みは以前のものとはちょっと違うような気がしたので、不安になってこちらにうかがう前にMRIの検査の予約をしてきたんです。」とおっしゃいましたので「是非、その結果が出ましたら教えてくださいね。」と申し上げました。

そして、MRI検査の結果を聞かせていただく時が来ました。「お医者様からは、L4、L5の腰椎の間から椎間板が飛び出しているから手術をした方が良いかもしれないが、ほっておいても消えてしまうこともあるし今すぐということはない。と言われました。」とのお話でした。しかし、Mさん御本人としては「我慢出来ない程の痛みでもないし、しかし、以前の痛みとは明らかに違う痛みの強さがあるしどうしたのものか。」と迷っていらしたようなのです。

確かに、以前腰痛でいらした時のようなJMIに対する反応の良さが無くなっていることは間違いなかったのです。治療後も、「なんだか、まだ妙な痛みが残っていて嫌な感じがするんです。」ともおっしゃっていました。私も「最悪は、手術も視野に入れて考えた方がいいかもしれませんね。真性のヘルニアの可能性がかなり高いような気がしますよ。」と申し上げていたのです。そうこうしているうちに、突然自宅で動けなくなってしまい尋常ではない痛みが腰を襲ったのです。これを機にMさんも「これは、手術しかないな。」と決断されたようです。直ぐに手術の予約を入れられ1ヶ月程入院をされました。無事、手術も終わり晴れて社会復帰をされたのです。

手術をされても、疲労がたまってくるとやはり以前のように腰痛が出てくるのでその時はまた治療にいらしていただいています。手術をされてからは、以前訴えていらした「妙な痛み」は無くなり明らかに仙腸関節由来の腰痛のみが出てくるようになられたのです。そうなれば、JMIの独壇場となりますからいらしていただければ即解決ということになります。今も、2~3週間に一度位のペースで、疲労回復を一番の目的としていらしていただいている状態です。

Mさんも、Gさんと同様に「やはり、椎間板ヘルニアの手術をしても腰痛は出てくるんですね。JMIという治療方法があるという事を知っていて本当に良かったです。知らなかったら、手術をしたのにどうしてまた腰痛になるのかとまた不安になってしまいますから。」おっしゃておられました。これは、ヘルニアの手術をなさって腰痛が再発した人でなくては判らない気持ちであろうと思います。この現象をいくら普通のお医者さんに訴えてもまず、理解されませんしやり場の無い不安に患者さんがお一人で悩むことにもなりかねないのです。

インターネットが広がり始めたという、大変良い時代になりましたので今回のMさんのようなケースの方のお力になれる機会が増えて、実に喜ばしいことだと思います。しかし、もっと医療の世界で関節運動学に基づく治療法の評価が高まり整形外科の分野では欠かせない治療方法として認められるようになればもっと患者さんのお役に立てる機会も増えるのではないかと思えてならないのです。

腰痛と肩こり、腱鞘炎、顎関節症、膝の痛み、外反母趾などは、同じ根本原因から派生して来たものです。
腰痛が酷い方の場合、腰痛の治療を始めて楽になって頂くと後から別の痛みが顕在化する事が良くございます。
実は、同時に起きていた異変なのですが、一番痛い場所の痛みだけを意図的に体に知らせる脳の仕組みが働き分からなくなっている事が良くあるのです。
肩こりも、決して肩こりだけ起きていることはまずありません。必ず、骨盤の仙腸関節の異常が絡んでいます。ましてや、ただ単に筋肉が凝っているなどと言う表面的な話ではないのです。
肩こりも放置しておけば偏頭痛や顎関節症、視力の低下を悪化させてしまう要因にもなります。
全ては関連し繋がっている話だと言う事を理解して頂けると嬉しく思います。


肩こり
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腱鞘炎
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顎関節症
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膝の痛み
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外反母趾
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