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第16回 臨床レポート

テーマ 「スポーツによる障害」

兵庫県在住 Aさん(30代) 男性(陸上競技・100Mスプリンター) Aさんとは、まだ東京に在住されて居た時に始めてお目にかかる機会を得ました。 社会人の陸上チームに所属され日頃は、出身大学の陸上部の方達と一緒に母校のグランドでトレーニングを積んでいらっしゃるとの事でした。地元に戻られてからも、東京に用があるときや海外のトレーニングに行かれた帰りなどに今でも良くいらしていただいています。
20代の頃には国体の100メートルの競技で優勝もなさっている一流のスプリンターの方でもいらっしゃいます。実績や潜在能力から行けばオリンピックに出てもおかしくないぐらいの実力を秘めた方でいらっしゃいます。そんなAさんも、足首を痛めてから記録が伸びずずっと悩んでいらしたとのことでした。スポーツ医学にも明るい方ですのでインターネットで様々な治療方法を探し上げた上で、当院の治療を一度受けてみようと思い立たれたとの事でした。
「関節運動学」は、スポーツ医学の分野でもまだ殆ど関心を持たれていない分野です。最初にお会いした時は、Aさんも興味津々という感じで私の話を聞いておられました。私も、一流のスプリンターの方をこんなに間近で拝見するのは始めてであり、体に触れるのも始めてでした。客観的に見てもその姿は「美しい。」の一言でした。サバンナを駆けるチーターのような風情が全身に漂っていらっしゃるのです。実際に治療に取り掛かりますと直ぐに分かった事は、「仙腸関節をかなり痛めていらっしゃるな。」という事でした。これだけ体を使う方が、仙腸関節内の動きが殆ど無いような状態になっていらしたのです。これでは、本来の体が持つ素晴らしい能力を出し切れないのではないかと思った次第です。おそらく、足首を痛めた事が遠因としてあるのではないかとも思いました。無意識に体をかばいながら使っているうちに仙腸関節を徐々に最悪の状態にしてしまったと想像が出来るのです。痛めた足首の周囲の関節の動きもかなり固くなっていました。とにかく、全身の固くなった関節の動きを元に戻すような感じで私も汗だくになりながら最初の治療を終えました。自らの体の事を隅々まで理解されている方だけに、治療後の体の劇的な変化にかなり衝撃を受けられたようです。
そして、Aさんが驚かれたのはJMIと言う全く未体験の治療法の効果だけでなく当院で使用しているマイナスイオンの電気治療器に対しても大変関心を示されました。全身が固くなり疲労も溜まりに溜まっているようでしたので、両手両足をお湯に付けた状態で全身にマイナスイオンの電気を30分以上に渡ってかけたのです。 この手法を一度体験された方にしか分からない感覚なのですが、電気をかけ終わった後30分位はまるで雲の上を歩いているような体の軽さを体験出来るのです。その感触を噛み締めるように、Aさんは何度も「凄い、凄い。」と歓声を上げていらっしゃいました。最後には、「この機械、欲しいな~。これは、僕の秘密兵器になりますよ。」と凄く関心を示されたのです。
疲労物質を電気的なレベルで中和してしまう手法を取っている治療器ですので、ちょっとSFチックな話をしますと、原理から言いますとこの電気をかけながら走れば疲労が蓄積せず、能力のある選手でしたら世界記録をいつでも出せるかもしれないのです。日頃、自らの肉体の隅々にまで神経を尖らせてトレーニングされている方だけにこの電気治療の素晴らしさを瞬時に理解していただけたようなのです。 それから、数回治療をさせていただきましたが「いやあ~、凄く調子がいいですわ。これならいけそうな気がしてきましたよ。」と喜んでいらっしゃいました。
その後、直ぐ地元の兵庫県に戻られる事になってしまい継続的な治療が出来なくなってしまいましたが、時々お会いしますと「以前よりは、体の動きが格段に良くなりましたね。後は、記録を狙って頑張っていますから良い知らせを先生にもお届け出来る日が来るかも知れません。その時は直ぐに連絡しますから。」と喜んでいらっしゃいます。Aさんが大舞台に立たれる日が来る事を私も陰ながら祈っているところです。Aさん、頑張れ!!

東京在住 Tさん(20代) 男性
(水泳・腰痛)
Sさんは、高校生時代にバックストロークの高校記録を持つスイマーでいらしたそうです。大学も水泳の能力を見込まれて推薦で入られ水泳部でいよいよ活躍をしようとしていた矢先だったのです。水泳部で練習を始めた途端に、突然今まで経験をしたこともない強い腰の痛みに襲われました。 直ぐに、練習を中止して暫く様子を見ていたそうですが一向に良くなる気配も無く不安な毎日を送っていらしたとの事でした。たまたま、Sさんのお母様のお友達が当院に治療にいらしていまして「一度、行かれてみてはいかがですか?」と御紹介下さり治療にいらしていただいたのです。
始めてお会いした時は、御本人もかなり自信を無くし落胆されている様子がひしひしと伝わってくるような様子でした。希望に燃えて、さあこれからという時に腰の痛みで練習さえもままならいのではかなり精神的にも堪えるというのは言うまでの無いと思うのです。始めていらした時に、同じ水泳部のガールフレンドの方も御一緒していただきました。彼女も自由形の選手でいらっしゃるそうですが、やはり腰痛が酷くなってきて練習も思うように出来ない状態とのことでした。お二人一緒に治療をさせていただきましたが、想像通りと言いますかお二人共仙腸関節の機能異常と炎症を持っていらっしゃいました。JMIならびに電気治療を交互に丁寧に施しながらのJMI独自の治療を慎重におこないました。さすがに、まだ20代前半の若さでしょうか、お二人共一度目の治療でかなり楽になられ大喜びしていただきました。
その後、3回ほどいらしていただきましたが、以前とは比べ物にならない位体が楽になり水泳の練習にも支障がないまでに回復をされました。 学校が都内からかなり離れた場所にある為に、そう頻繁に治療にいらしていただく分けにもいきませんが学校の長期の休みを利用して今でも時々いらしていただいています。将来、日本記録を出せるような選手になっていただけたらと期待をしているところです。
[水泳が腰痛に良い?]
巷では、アクアビクスと称して水の浮力を利用した新しい運動法が盛んにおこなわれるようになってきました。よくそうしたスクールで、これを続けていると「腰痛が治る。膝の痛みが取れる。」と言う様なことが言われるようです。水の浮力を使った運動は確かに、腰や膝に負担がかかりにくいという事はあるかと思いますが、それをやったからと言って「腰痛が治る。膝が治る。」というのはいくらなんでも言いすぎではないかと思うのです。
関節運動学の見地から申しましても、本来の機能を失った関節の機能異常の状態でいくら運動をしてもそれによって関節内の機能を正確に元に戻すことなど土台無理な話だからです。運動をして血行が良くなれば痛みも軽減されますし、治ったもしくは治っていく様な気がするということは良くございます。しかし、体が冷えて血行の悪さが元に戻ればまた元の木阿弥ということを繰り返しているのが殆どのケースではないでしょうか。水泳と言う運動も、そうした血行を良くする為の操作の一環として考えられる訳でして、関節レベルの治療効果という面においてはその他の運動と本質的にはなんら変わらないのです。
数年前の夏のある日、衝撃的な光景を目にした時の事を私は今でも忘れられません。夏休み中の中学校の前を通りかかった時の出来事です。夏休みではありますが、運動部の子供達が学校に出てきて思い思いに練習に取り組んでいるようで、校庭のあちこちから歓声が聞こえていました。ちょうど、校門の前を通りかかった時でした。どうも、学校のOBの方と思われる年配者の方を運動部の顧問の先生が送って出ていらした場面に出くわしたのです。まさにOBの方が車に乗り込もうとなさっている時です、校舎の方から生徒が10人ほど走り出てきてそのOBの方を見送りに出てきたのです。水着を来ている生徒の姿を見て水泳部の関係者だと言う事が直ぐに分かりました。生徒は皆女子生徒でしたが、水から上がったばかりでまだ体が濡れている子もいました。生徒達は、一斉に「ありがとうございました。」と声を揃えてOBの方にお礼を言っていました。大変微笑ましい光景で私も思わず頬が緩んでしまいました。しかし、次の瞬間私は彼女達の姿を見て凍り付いてしまったのです。10人いる女子生徒の内の4人がジャージの上から腰痛用のコルセットをしていたのです。明らかに、水泳の練習が出来ずに見学をしている事が体が濡れていない事からも容易に想像出来たのです。
「水泳が腰痛に良い、水泳で腰痛を治しましょう。」というキャッチフレーズの空しさをこの現実から感じないわけにはいかないのです。まだ、13歳~15歳位の少女達が、今から腰痛を抱えながら運動をしている生の姿を見て本当にやりきれない思いがしてしまったのです。腰痛で悩む彼女達が、近い将来JMIに出会ってくれればいいがと願わずにはいられない出来事でした。

また、前回のシドニーオリンピックでも日本代表の女子水泳選手が決勝レースを途中欠場してしまった事がありました。どうしてだろうと思っていたところ後から判った欠場理由は、なんと「腰痛が悪化した為」という事でした。「水泳が腰痛に良い。」と言われ続けてきた事の根拠の無さがくしくも世界の大舞台で証明されてしまったような出来事だったのです。

東京都在住 Mさん(50代) 男性(ゴルフ)

Mさんは、ゴルフでお客様を接待するのがお仕事と言う様な日常を送っていらっしゃる営業マンの方です。めったにコースになど行けない私などから見ますと、羨ましいようなお立場でいらっしゃるのですが、腰痛が悪化してからと言うもの笑っていられない状況に陥ってしまったとのことなのです。

なんとかこの酷い腰痛の状態から脱却しないと、営業にも差し支えると言う状況になり部下の方に良い治療方法や治療院が無いかどうか調べてくれるようにと頼まれたのだそうです。部下の方も片っ端からインターネットを使って調べ上げたあげく、当院ならなんとかしてもらえるかもしれないという結論に達し、Mさんも一縷の望みを託していらしていただいたということだったのです。ゴルフの腕前をお聞きしますと、当然ながらシングルでいらしてハーフを30台で回ることもしばしばというかなりの腕前でいらっしゃるのです。道具に対してのこだわり様も半端ではなく、ゴルフの話をし出しますと治療そっちのけになりそうでしたので早々に治療に入らせていただくことにしました。

拝見しますと、実によくある仙腸関節の機能異常由来の腰痛のケースでした。初回の治療だけで、かなりの良い手ごたえを得られまして大喜びをしていただいたのです。ただ、腰痛が慢性化しているのに無理を重ねていらした関係上、単純性の炎症が仙腸関節周囲に見られましたので少なくとも1ヶ月はおとなしくしていて欲しいとお願いしました。「一ヶ月ですか~~~。」とMさんも、かなり困った様子でいらっしゃいましたが、先の事を考えると従わざる終えないなと判断され何とか理由をつけてゴルフを一時休止していただいたのです。

そのかいがあり一ヶ月後には、炎症も完全に収まりかなり回復されたのですが、最初の3ヶ月位の間は御本人もかなり神経質なまでに頻繁に治療にいらしていただいていました。すっかり良くなられ自信が持てるようになられた現在は2~3ヶ月に一度位のペースでいらしていただいています。しかし、プレー中に「あれ、まずいかな。」と思われた次の日には何が何でも時間を作られて治療にいらっしゃいます。その用心深さは、酷い目に何度も合い死線をさ迷った(笑)方ならではの有り様かなと思っております。Mさんも「二度とあんなつらい目には合いたくありませんからね。先生に出会えて本当に良かったですよ。まさに、地獄で仏に出会ったようなもんですから。」とおっしゃっておられます。

御自身がJMIを受けられて感動された喜びを、お知りあいで困っていらっしゃる方に次々と御紹介いただきMさんを通して本当に沢山の方とご縁を持たせていただくことができました。幸いな事に、全ての方が1~2回の治療で劇的な回復を遂げられておりましてMさんの周囲では伝説の治療院になりつつあるとのお話を聞いたときには、困惑してしまったのです。「Mさん、ちょっと待ってくださいね。全てがそうとはいかないんですよ。たまたま御紹介頂く方が、皆さん内科的には全く問題の無い健康な方ばかりで、関節のちょっとした物理的な異常で痛みを訴える方ばかりでしたからこうした良い結果がたまたま続いていますが、簡単には行かないケースも実は沢山あるんですからね。」と再三ことわらなくてはいけない程、Mさんの周囲ではちょっとした騒ぎになってしまっているとのことなのです。大変ありがたい事ではありますが、私自身に出来る事と出来ない事があるという事が良く判っているだけに、単純に喜んでばかりもいられないのです。

スポーツをなさる方達にちょとしたアドバイスをさせていただくことがよくございます。ゴルフを頻繁になさる方には欠かさずさせて頂くアドバイスなのですが、出来れば、プレー中は骨盤をゴムのベルトで締めた状態でやっていただきたいという事なのです。練習中から骨盤にゴムベルトを巻いてゴルフをなさるようにしませんと、体の使い方が急に変わる為にゴルフにならなくなってしまいますから、日頃から慣れていただきましてコースを回っていただきたいのです。骨盤を締めると言いましても、のり巻きを巻くように平行に腰に巻いても全く意味がありません。仙腸関節を締める事が目的となりますので、巻き方にも一工夫必要なのです。そういった事もいらしていただいた患者さんには、具体的なアドバイスをさせていただいていまして皆さんに大変喜んでいただいているところです。

東京都在住 S君(18歳) 男性 (野球・肘痛)

S君も、お母様のお友達が当院の患者さんでいらした関係上治療にいらしていただくことになった患者さんでした。野球部のキャッチャーをやっていて、話を聞きますと「強肩、強打」のかなり将来有望な選手なのです。チーム自体もかなり優秀な選手が揃っており、ひょっとすると甲子園に行けるかもしれないという思いを抱きながら毎日の練習に明け暮れている様子でした。

当院にいらしたのは、右肘の痛みがなかなか取れず困っているとのことでした。
当然ながら、数ヶ月前から整形外科にも行きパラフィンで温めたり、レーザーを当てたり、マッサージをしたりしてもらっているようでしたが一向に症状が改善する気配がなく焦りを感じ始めていたようです。チームの中心選手である以上、練習や試合を休む分けにもいかず肘の痛みにもんもんとする日々が続いていたようなのです。

私は、患者さんが子供であろうとと大人であろうと、全て一人の人を相手にしているという気持ちで話をしますのでS君が高校生であっても大人に話すのと全く変わり無い話をしました。S君も、始めて聞く話の数々にかなりショックを受けながら、いつのまにか真剣な表情で私の話を聞いていました。また、積極的に判らないところは質問をしてくれましたし、痛くなるまでの経過につきましても詳しく話をしてくれました。おかげで、私も問診の早い段階でS君の肘の痛みの原因が腰痛由来のものであるという確信を得るにいたりました。

早速に、JMIの治療を施しますとさすがに若さでしょうか、一度の治療で殆ど肘の痛みを感じないまでに回復しました。これには、本人もビックリしていました。さかんに、スローイングを繰り返しながら「いやあ~、嘘みたいです。軽いです。いやあ~嬉しいっすね。」と満面の笑顔を浮かべで治療の成果を私に教えてくれました。
その後、2回ほど続けて来てもらいましたが練習がそんなにきつくない限りにおいては以前のような酷い肘の痛みが出ることも無くなったと心から喜んでいただけたのです。

チームの方は、残念ながら予選の2回戦で敗退してしまいましたが上手くいけば準決勝ぐらいまでは残れる力のあるチームだったようです。その後、S君は某有名大学の野球部に推薦で入学され将来はプロ野球の選手を目指して頑張っています。大いに期待したいものだと思います。

S君に関してもう一つとても興味深いエピソードがございますのでお話をしておきたいと思います。ある日、治療にいらして「先生、右手の小指の先にバットが当たってヒビが入ってしまって凄くまいってるんです。来週には、大切な練習試合があってなんとかしたいんですが、これは無理ですよね・・・・・・・。」とおっしゃいました。
「S君、これはあまり公表していないんだけども実は当院で使っている電気治療器骨折やヒビなどの怪我にも凄く威力を発揮することがあるんだよ。とりあえずかけてみるからね。ヒビ位だと上手くすれば2回位かけただけで完全にくっつくことが良くあるし、骨折の場合でも固定して自然に回復するのを待つよりも、半分以下の時間でくっつく事を今までに何度も経験しているからとにかくやってみよう。」と言いました。

S君も目を輝かせて「本当ですか。凄いですね。是非やってみたいです。」とおっしゃるので両手をお湯につけてマイナスイオンの電気を30分程かけました。終わった直後に「痛みの具合が随分と楽になったような気がします。良いみたいです。」とおっしゃっていました。前日に整形外科に行かれたばかりだったようですが、「今度、病院に行った時にレントゲンを撮るのがちょっと楽しみだね。」と申し上げますと「これでくっついていたら凄いですね。」と喜んでくれました。そして、治療をして3日後に病院で再度診察を受けレントゲンも撮られたようです。その結果、ほぼ問題なくヒビが治っていたというではありませんか。お医者さんも「凄い回復力だね。驚いたよ。」とおっしゃっていたようですが、S君は電気治療の事は言わなかったようです。それはそうです。怪我をしてから1週間も経たない内に電気をかけただけで、ヒビとは言えども完全にくっつくことなどちょっと常識では考えられないことですから。

その検査の帰りに再度来院していただきまして、また電気治療をしっかり施した事は言うまでもありません。その結果、次週の練習試合は無事出場する事も出来、ホームランまで打ってチームの勝利に貢献出来たということです。
「大学の野球部に入っても、どこか体が痛かったら先生の所を知っているからこの先も本当に安心です。野球部の人達にも先生の所を教えたいと思いますよ。」と嬉しい事を言ってくれるのです。親子ほどに歳が離れているS君ですが、彼のその真っ直ぐな姿を見ていると本当に心洗われる思いがいたしました。S君が帰った後に思わず彼の言葉を思い出し目頭が熱くなってしまいました。夢のプロ野球選手に向かって頑張って欲しいものだと思います。

東京都在住 Kさん(50代) 男性 (テニス肘)

Kさんは、50代とは思えないほど溌剌とした方でいらっしゃいます。
学生時代から野球でならし、今でも週末は必ずテニスをなさっているのです。
そんなある日の午後、突然お電話をいただきました。
「今、軽井沢の帰りなんですけどテニスをやっていて途中から右肘が痛くなってしまって未だに痛みが引かないんです。帰りに寄りたいんですが良いですか?」と言うものでした。声の調子からかなり困っている様子が伝わって来たのです。

直ぐにいらして頂き拝見しますと、肘の関節自体が別段おかしくなっている様子はありませんでした。しかしながら、腰の仙腸関節と肋椎関節、手首の関節に明らかな機能異常が見受けられたのです。関節運動学に基づく治療法が指摘しているところの「関連痛」の典型的な症状でいらしたのです。お話をうかがいますと、その日はかなりむきになってやってしまいいつもよりもかなりハードな練習と試合をなさったようなのです。まずは、型どおり仙腸関節を治し、肋椎関節を治し、最後に手首の関節周囲の異常を治しました。その後に、スウィングをする恰好を何度かしていただきました。「へえ~凄いですね。こんな短時間で治ってしまいましたね。どうなるのかと心配でしたけど、助かりました。先生と知り合いで本当に良かったですよ。」と改めてJMIの関節の治療法の素晴らしさを再確認して下さったようなのです。

「痛くない時は、先生の存在を忘れているんですけど、痛くなると思い出すんですよね。」とおっしゃるので「皆さん、そんなものです。いざと言う時にお役に立ててこその治療法でもありますからね。しかし、壊れるまでむきになってやるのもいかがなものかと思いますよ。」と申し上げますとしきりに頭を掻いていらっしゃいました。
Kさんのような症状でしかるべき所に行けば必ず「筋肉の問題」として片付けられ肘の周囲にそれらしい治療をされるかと思います。しかし、いくら通っても治らないという事態に直面した時に患者さんは困惑してしまうのです。「どうしていつまでも痛みが引かないのか?」と不安を抱えながら、関節内に異常を抱えたまま騙し騙し体を使っているうちに最後は腰痛まで悪化させてしまうという悪循環で悩んでいらっしゃる方が世の中には沢山いらっしゃるのではないでしょうか。

腰、肩、肘、腕、足などの奥の方から断続的にこみ上げてくるような不快な重苦しい痛みが出だしたら、まず関節由来の痛みである事が殆どです。湿布を貼ったり、体を温めても一向に改善が見られなくなります。そういう症状が続いているのに筋肉レベルの治療(マッサージ、指圧、鍼灸など)をいくらしても患者さんは殆ど治療効果を感じられないのです。「これは、変だな。筋肉の問題じゃないぞ。」と患者さんは自らの体の変化からその事を良く理解されているのですが、残念ながら治療する側が全く気づいていないという事が殆どなのです。関節内の機能異常が引き起こす体の痛みについての知識が無いという事と、そういった知識が一般化されていないという悲劇がもたらす現実であろうと思うのです。

プロのスポーツ選手として活躍されている方の中にもそういった悩みを抱えていらっしゃる方が沢山いらっしゃるのではないかと思います。プロの場合は、即生活に関わってくる重大な問題です。見当違いな治療、不必要な治療で選手寿命を悪戯に縮めているとしたらこれは本当に気の毒な話です。関節の中の動きの重要性に目をむけた医学的な治療の大切さに、プロスポーツに関わる方達にも気づいていただけたらと願ってやまないのです。プロのスポーツ選手でも、関節の治療と言えばどうしても、関節を扱う民間療法に良く行かれていると言う話を耳にします。先輩後輩などのしがらみなど様々な人間関係などがあり行かざる終えないと言った特殊な事情もある世界のように聞いております。一時の「関節の治療のマジック」で治った気になっていなければ良いがと思うと同時に、それ以上に事故に合い選手寿命を縮められてしまうような恐ろしい事態が起きていなければ良いがと心配でならないのです。

神奈川県在住 Y君(20代) 男性 (バスケットボール)

Y君は、お知り合いの方からの御紹介でいらして頂いた方です。
ギックリ腰を何度も経験され、慢性的な腰痛に悩んでいるとの事でした。
最近は、肩や頭まで痛くなることがありかなり困っていらっしゃる様子でした。
背もスラット高くていらっしゃいますし、体全体が大変引き締まっていらっしゃるので何かスポーツをなさっていたのかとお尋ねしますと、10代の頃からバスケットボールをやってきていらっしゃるとのことでした。

後で、知ったのですがバスケットボールに対する打ち込み方は半端ではなく、高校時代はインターハイにまで出場なさるぐらいの腕前でもあり、なおかつ学校のクラブ自体が都内でも強い事で有名な学校だったとのこと。Y君も、「腰痛さえなければ・・・・・・・」と過去を振りかえって悔しそうな顔をされていましたので、相当腰痛に苦しめられて満足なプレーが出来ない時期がおありになったのであろう事は容易に想像が出来たのです。今現在は、遊びで時々バスケットボールを楽しまれる程度とのことですが、その遊びのバスケットボールをやっているだけでも腰に響く為にまたいつギックリ腰をやるかと不安でならないとのことでした。

早速に治療に取り掛かって見ますと、想像通りと言いますか仙腸関節はかなり酷くずれてロックした状態になっていました。「この状態のままでプレーなさっていたとしたら、ギックリ腰をいつ起こすか知れ無い状態ですから腰に爆弾を抱えてプレーしていたとも言えますね。」と申し上げますと、「本当にそんな感じでしたね。」としみじみおっしゃっておられました。触って外からはっきりと分かるほどに、仙腸関節周囲にも炎症を起こしていらっしゃるような状態でもあったのです。

初回の治療が終わった時点で御本人もかなりの手ごたえを感じられまして、「嘘みたいに楽ですね。これが続くと良いんですが。」とおっしゃっていました。その後、3回目の治療が終わった時点で、ご本人もかなり確信を持たれたようで「こんなに腰が軽くて不安を感じない日々が続くのは、何年ぶりかと思いますよ。」と改めて治療の成果に驚いていらっしゃいました。その後は、おかしくなって来たなと思うと直ぐにいらっしゃるという形で今も時々治療にいらしていただくという形が続いております。

そんなある日、「先生、実は家のおやじがやはり腰痛持ちでして今度こちらにこさせていただいても良いですか?」とおっしゃるので「ええ、いつでも良いですよ。」と申し上げたのです。後日、直ぐにお電話を頂きお父様にもいらしていただいたのです。
お父様も大変立派な体格をされており、お聞きしますと日本空手協会に所属される空手家でもいらっしゃる方だったのです。やはり、昔から空手をやり教えということを続けていらした関係上、腰痛には悩まされ続けていらしたようです。今は、趣味でゴルフをなさるそうですが、ラウンドの後半になると腰痛が酷くなってきてしまって歩くのもつらい様な状態になってしまうとのことでした。しかし、息子さんの回復振りを真近に見てこれは是非行って見ようと思われたようなのです。

お父様の過去の経歴を治療しながら色々とうかがっていましたら、まるで映画にでもなりそうな凄まじいまでの人生経験をされており、昭和50年代の中東戦争真っ只中の中東の某国の警察で警察官に空手を教えていらしたという特異な経験をお持ちの方だと言う事が分かりました。その当時、中東には一般の日本人は殆ど居ないような時代だったのですから今では考えられない程危険な状況下にあった事が想像が出来るのです。Yさんも今の、アメリカとイスラム世界とのあり方は大変危惧されており、イスラムの世界に住んだ方でなくては語れない角度からの大変興味深いお話の数々に、今でもお会いするたびに教えられ考えさせられる事が多々あるのです。

治療の方は、極めて順調に進み初回の治療で体のあまりの大きな変化に驚いていらっしゃいました。特に驚いていらしたのは、「確かに、先生がおっしゃるように立った時の足の裏にかかる体重の感じが全く変わりましたね。体に中心軸が出来たという感じが確かにしますよ。これは、凄いわ。」と言って驚いていらっしゃいました。さすがに、武道をなさる方だけに御自身の体のバランス感覚の変化にはとても敏感に反応されたのです。お父様も順調に回復され、その後奥様がギックリ腰をなさった時もお連れいただきましてお役に立てることが出来ました。

先日、お父様にお会いした時におっしゃっていたのですが「息子がしみじみこの間言ってましたよ。高校時代に先生に出会っていればもっと活躍出来たのになと。ですから、じゃあ今からでもどんどん先生の所を困っている人に紹介してあげればいいじゃないか。と言いましたら、駄目駄目、あんな凄い治療法は人にはあまり教えたく無いよ。ですって。先生だって商売でやっているわけだからいいじゃないか。と言うんですがあまり教えたくないそうですよ。(笑)困ったやつですわ。」と、このお話には私も苦笑してしまいました。

しかし、お父様のお話からY君の、人には決して判ってもらえない積年の苦しみと悔しさがしみじみと伝わってくるようでなんとも言え無い気持ちになってしまったのです。スポーツに青春を賭け、身も心もぎりぎりのところで頑張った者にしか判らない悔やんでも悔やみきれない思いがそこにはあるのだろうと思ったのです。Y君のような悔しい思いをする方が一人でも居なくなる為にも、JMIと言う治療法がもっと沢山の方達の目に触れ、正しい形で知っていただけるような機会が増えてくれる事を願わないわけにはいかないのです。

東京都在住 Aさん(20代) 女性 (オフロード・自転車)

近年、女性の方の間でもオフロードを専用の自転車で駆巡るというワイルドなスポーツをなさる方が増えてきているようです。Aさんもそんな方のお一人でした。
Aさんも、当院にいらしている患者さんSさんの御紹介でいらして頂いた方です。
御紹介いただいたSさんのお仲間と一緒に、休日はオフロードの自転車競技を楽しんでいらっしゃるそうなのですが、数日前にギックリ腰をやってしまって遊びどころか、仕事にも差し支えるような状態になってしまいSさんに御相談なさったのだそうです。お話によりますと、10代の頃から腰痛には悩まされていて、鉄棒から落下して腰を打ちつけたりと腰痛の歴史は筋金入りだとの事でした。

Sさんは、Yさんに当院を紹介するに当って、実に気軽に「とにかく一度大塚の先生の所に行っておいでよ。直ぐに治してくれて、まともに歩いて帰れるようになるから。」というアドバイスだったそうです。治療する私の方から申しますと、「そうばかりとも言え無い事もあるのですから・・・・・・。」と言いたいところでもあるのですが、それだけSさんに御信頼いただいているのだなと思い大変嬉しく思った次第です。

Aさんですが、とりあえず座って頂いて少しお話をしようとしたのですが椅子にじっと座っていることもままならない様子で、体を斜めによじって耐えているような有様なのです。かなり強い痛みでまいっていらっしゃるおつらい状態でいらしたのです。そこで、直ぐにベッドに横になって頂いて問診をした後に治療に取り掛かりました。まさに、ギックリ腰特有の症状が出ており、仙腸関節周囲の炎症も花盛りという様な状態でいらっしゃいました。一連のJMIの治療をおこない、後は炎症と痛み対策の為の電気治療をしっかりおこなう事に専念したのです。

初回の治療を終えて、ゆっくりと起きていただき立ち上がっていただきました。「いかがですか?」とお尋ねしますと「あ~、軽い。嬉しい~。真っ直ぐに立てます。来た時はあんなに痛くてたまらなかったのに。凄いですね。」と感激していただいたのです。お帰りになる時も、「Sさんの言ってた通りですね。まともに歩いて帰れますもん。」と大喜びでいらしたのです。私も、Sさんがおっしゃった事を現実に再現出来て本当に良かったとホット胸をなでおろしたのです。

Aさんに限らず、自転車競技やバイク競技をなさっている方にも腰痛で悩んでいらっしゃる方が沢山いらっしゃいます。オフロードを駆巡るとなりますと、転倒したり、無理な姿勢で着地したりと腰痛になるリスクが多くなる事は言うまでもありませんが、長時間のツーリングなどでも、やはり腰痛になる事が多くなるのです。その原因としてはやはり「前傾姿勢の同じ姿勢を長時間取る」事により仙腸関節の機能異常を誘発してしまうからなのです。スポーツをなさる方は、常に体の適切なメンテナンスを同時に考えながらなさるのが鉄則であろうと思います。中でも特に重要なのが、仙腸関節の機能異常を取り除くメンテナンスを定期的に行う事です。

東京都在住 Kさん(20代) 男性 (サッカー)

今や、野球よりも若者の間では盛んになりつつあるのがサッカーでしょうか。
Jリーグが創設されてからその人気は鰻上りと言った感があります。
当院にいらっしゃる方の中にも、サッカーを趣味で楽しむ方が本当に多くなりました。それにともなって、腰痛や股関節痛、膝の痛みなどで悩み受診される方も急増して来たのです。

Kさんも、趣味でサッカーを始められ休日にサッカー仲間とゲームを楽しんでいらっしゃるとの事でした。やはり、腰痛と股関節の痛みを訴えていらっしゃいました。
拝見しますと、仙腸関節の動きが殆ど無くなっているような状態でありこれでは腰痛になるのもうなずけますし、股関節の動きも悪くなる事は言うまでも無いと思った次第です。Kさんも殆ど初回の治療で大きな痛みは取れてしまいまして、今は月に一度程度のペースでいらしていただくだけで十分というところまで回復をされている状態です。

サッカーで腰と同様に痛める事が多いのが、股関節のようです。股関節は、仙腸関節の直ぐ下に付いている関節です。位置関係が近い事もあり、仙腸関節の機能異常が起きますとかなり大きな影響を受ける関節である事は容易に想像がつくのです。しかしながら、人体の関節の中でもかなり広い可動域を持つ関節であり、なおかつ大きな筋肉に守られている為仙腸関節の影響が直ぐに出て異常を感じる関節でもないようなのです。実は、そこが曲者でして異変に気づいた時は関節周囲の組織をかなり痛めてしまって治りを悪くしてしまっているケースが大変多いように感じています。臨床レポートの「股関節痛」のところでも、取り上げましたが仙腸関節の異常を治しただけで劇的に痛みが消失するケースも実は少なく無いのです。それを、股関節の角度がどうの、骨の形がどうの、筋肉がどうのと見当はずれな治療をされて無駄に時間を費やしてしまっていますとますます治りが悪くなってしまうのです。

股関節以外にもサッカー選手の間では、持病になっている方も多いと言われる「恥骨結合炎」という病気がございます。まさに、恥骨は仙腸関節と一緒になって骨盤を構成しているジョイント部分ですから、恥骨部分が炎症を起こす前段階として仙腸関節の機能異常が必ずあるはずなのです。骨盤の後ろ側の仙腸関節の動きが悪くなってしまった状態で、下肢を酷使しているうちに無理が前側の恥骨周囲にかかり炎症を起こすというのがメカニズムではないかと私は想像しております。残念ながら、恥骨結合炎とはっきり診断をされた患者さんを直接治療させていただいた機会がまだございませんので、現段階では正確な事は申せません。しかし、恥骨結合部分が痛むと訴える患者さんは今までにも何人も治療させて頂いていますし、JMIの治療により回復していただいた経験が何度もあります関係上、関節のメカニズムから考えましても仙腸関節との密接な関わりが発症のメカニズムにある事はまず間違い無いと確信しているところなのです。

東京都在住 Hさん(20代) 男性 (サーフィン)

Hさんは、臨床レポートの「顎関節症」で御登場頂いたHさんの弟さんでいらっしゃいます。ご兄弟そろってスポーツマンでいらっしゃるのですが、弟さんは昔からサーフィンが大好きでいらして十代の頃から真冬でもスウェットスーツに身を包んで海に出かけられる程の入れ込みようでいらっしゃるとのことです。

お兄様からの御紹介でいらして頂いたのですが、やはり腰痛で悩んでいらして、腰から背中、頚にかけての痛みも訴えていらっしゃいました。「先生、来年結婚することになりまして、こうして好き勝手やっていられるのも今度の大会が最後になるんです。是非、上位に食い込みたいのでバッチリ体のメンテナンスお願い出来ませんか。」とおっしゃるのです。お兄様からも、サーフィンの腕前はかなりのものだとはうかがっていましたが大きなサーフィンの大会でも大活躍されている事を御自身の口から直接聞かせていただきまして私も是非御協力したいという気持ちになったのです。

なんでも、次回の大会はプロのサファーも出る大きなもので九十九里浜でおこなわれるのだそうです。前回の大会でも良いところまで行ったのですが、残念な結果に終わってしまって今度こそと捲土重来を期しているとのことだったのです。Hさんのサーフィンの腕前はかなりのものらしく、アマチュアの域を超えているとのこと。プロのサファーが彼の演技を見て「君、なかなか良いセンスしてるよね。プロになったら。」と声をかけられることも良くあるそうなのです。Hさんもおっしゃっていましたが「さすがにプロは違うなと思うのは、いつもトレーナーを帯同させていて体のメンテナンスを常に怠らないところだと痛感していますよ。」と。戦争でもプロの戦略家は、最前線でどう戦うかを考える以上に「補給」をいかに滞りなくするかを考えると言います。アマチュアとプロのそこが大きな違いだと言うことをHさんも肌身で感じていらしたようなのです。

大会までの1ヶ月の間、足しげく治療と体のメンテナンスに通っていただきました。いよいよ大会を目前にしてHさんも「本当に体が良く動くようになりましたし、バランスも凄く良くなったように思います。練習していてもそれを凄く感じます。もっと早くに先生の存在を知っていたらと思うとちょっと悔しいですね。でも、次の大会が最後ですので自分の全てを出し尽くして頑張って来たいと思います。」と力強くおっしゃっていたのです。いよいよ、本番の日。当日は、私も仕事をしていても「Hさん、頑張っているかな?」と心配でなりませんでした。夕方、ちょうどお兄様が治療にいらしていて、治療の後お茶を飲みながらお話をしていた時です。お兄様の携帯電話が鳴りました。「ウン、ウン、そうか。良かったな。へえ~、凄いじゃん。分かった。伝えておくよ。」と言って電話を切られたのです。「弟さん、いかがでしたか。」と尋ねますと「いやあ~、先生。ありがとうございました。3位になったそうです。今まででベストの記録だと本人も言ってました。先生に良くお礼を言っておいて欲しいと今言っていました。本当にありがとうございました。」と言う大変嬉しい知らせだったのです。

私も、お力になれた喜びで心から万歳と叫びたい気持ちで一杯になりました。
今では、Hさんはお子さんもお生まれになってすっかりマイホームパパになられました。時々お会いする機会があり「サーフィンはどうしてますか?」と尋ねますと「いやあ~、今ではもうすっかり御無沙汰ですよ。嫁が絶対に行かせてくれませんから。怖くて怖くて。」とおどけていらっしゃるのです。すっかり恐妻家にもなられてしまったようです。Hさんの人生に中におけるエポックメイキングな時を、ともに過ごさせていただきより大きな成果を得るためのお力添えが出来たという喜びはいつまでも忘れる事はないと思うのです。今度は、人生の荒波を華麗に乗りこなして行っていただけたらと願わずにはいられないのです。

東京都在住 Aさん(20代) 女性 (スキー・スノーボード)

毎年、1月になると急に増加し出すするスポーツ障害があります。
スキーやスノーボードに代表されるウインタースポーツによるものです。
Aさんの場合もまさにその典型のような症状でいらっしゃいました。
スノーボードをやり、度々尻もちをついてころんだということでした。
スキー場にいる段階で既に酷い腰痛になってしまい、ほうほうの体で帰宅されたとのことでした。

整形外科に行っても「骨には異常は無い。」という事で特に何もしてくれない。
マッサージや整体に行っても「そのうちに治るでしょう。」という曖昧な答えでどうしようもない状況になってしまい、ネットで探し当てて当院にいらしていただいたということでした。

早速に治療に取り掛かってみますと、仙腸関節の機能異常はもちろん仙腸関節周囲に炎症を起こしているような状態でいらっしゃいました。この状態で、長時間に渡るデスクワークのお仕事を続けられていてはつらいのは当然であろうと思いました。御本人は、しきりに尾骨のあたりの痛みを訴えていらっしゃいましたが仙腸関節のJMIの治療によりかなり痛みが軽減されました。3回目の治療を終了した時点で、全ての痛みがすっかり消え去り大喜びしていただきました。

12月~3月位までの間は、ウインタースポーツによる腰痛や背中の痛みなどで駆け込んでいらっしゃる方が急増いたします。ウインタースポーツは、腰痛になる為の全ての要素を兼ね備えた最悪のスポーツと私は個人的に理解しております。ですから、一度も私はやったことがありませんし今の立場ではとてもやろうとも思えないスポーツなのです。

「寒い」「体が冷えて筋肉が固くなる」「腰から転ぶ事が多い」「スピードが出る為怪我をする確率が非常に高い」などなど腰痛になるべくしてなるような悪条件が幾つも揃ったスポーツなのです。足首周囲を固定する道具を使うケースが多いためにどうしても体のバランスを崩しやすいですし、転んだ時に体の自由が完全に利かない状態ですので思わぬ大怪我を負うケースも当然ながら多くなります。怖がっていては楽しめないとおっしゃる方も多いとは思うのですが、自らが怪我をする立場になって始めて「やらなければ良かった。」とおもっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

また、スケートをやっていて固い氷のリンクで尻もちをついてから腰痛に悩まされている方も沢山いらっしゃいます。まさに、仙腸関節の機能異常を誘発するような事故です。ウインタースポーツと格闘技・武道程怪我をした後の事を最初から念頭に置いておこなった方が良いスポーツでは無いかと思えてなりません。それらのスポーツで体を痛めて来院される患者さんを診ていて私はいつもそう感じております。どんなスポーツにも言えることかもしれませんが、スポーツは楽しい面ばかりではなく一つ間違えると一生後悔するような怪我を負う可能性を同時に秘めたものである事を、最初の段階で良く胆に銘じる必要があると思うのです。
その為にも、指導する立場にある人は「基本の大切さ」と「安全性に常に配慮する事の重要性」を何度も何度も繰り返し伝え続けていく義務があると思うのです。

[注意] 武道・格闘技による障害 [注意]

現代におけるブームなのでしょうか、格闘技や武道に親しむ方が以前よりも格段に増えたようです。しかし、それに伴い怪我をして苦しんでいる方も多くなりました。
当院にも、様々な武道や格闘技に親しみそれによる怪我が治らずに苦しんで尋ねていらっしゃる方が多く見受けられます。

世の中には、様々なスポーツがございますが、治療する立場から申しまして武道や格闘技で体を壊して来院される方ほど治りが悪く治りにくい方はいらっしゃいません。特に、関節技を得意とするような武道・格闘技をなさっている方の場合は最悪です。「何をするとこんなに関節をおかしくしてしまうのか。」と思うような酷い壊し方をされてきます。他人を殴ったり、蹴ったりするようなものの場合も他人に加えた衝撃が必ず自分に返ってきます。そして、自らの関節を痛めることにつながるのです。

自らの体を修復出来ないまで破壊しても、それでもやりたいと腹を決めてなさるのなら構いませんが、そうではなく只単なる趣味としてなさるのなら「絶対に止めた方が良い。」と私は声を大にして言いたいのです。若い内はまだ良いのですが、歳を取ってから必ず後悔することになるのが目に見えているからです。

Kさんという50代の男性でしたが、合気道を長年なさっているかなりの使い手の方でした。多くの方を教える立場になり、趣味がいつの間にか仕事になってしまった方でもありました。「合気道が元で家庭崩壊まで招いてしまいましたよ。この歳で花の独身ですわ。ハハハハハ」と恥ずかしそうな表情でお話くださった事を今でも思い出します。長年合気道をやってきたツケが近年出てきてしまって頚から肩にかけての痛みがひかなくなってしまったとのことでした。
診せていただきますと、やはり腰から頚にかけての異常なまでの関節の硬さがあり、頚椎の動きは殆ど無いような状態でした。これを直ぐに治せと言われましても大変な事です。2ヶ月程かけてなんとか大きな痛みを取って差し上げる事は出来ましたが、完璧とは程遠い状態で今でも痛みを抱えながら頑張っていらっしゃいます。
本当にお気の毒な事だと思いながらも、どうしようもない歯がゆさを感じているところです。

10代、20代の方で、格闘技や武道を趣味でなさっている方がいらっしゃいますと私もあえて心を鬼にして忠告をさせていただくことがよくございます。いくらルールがあるスポーツとしての格闘技・武道とは言え、人の体に必要の無いダメージを他人が加えるような行為は、必ずや大きな負の遺産となって自分にもかえってくるという事を良く理解した上で取り組むべきではないかと思えてならないからなのです。

スポーツや武道・格闘技などを仕事としてなさっている方達の体は、後年になってから大丈夫なのだろうかと人事ながら本当に心配になってしまうのです。
当人にしてみれば、人生の何に意義を見出すかという点において、たまたまスポーツや格闘技・武道だったのかもしれませんが現役の時から関節の本当の治療をしっかりと受けてケアーしながらなさっていただけたらと思えてならないのです。それでも、大きな怪我をすれば後遺症に苦しむ事が後年になってから出てくることは避けられない事実だという事は、容易に想像のつくところなのです。色々な意味で大きなリスクを抱えながら覚悟の上で挑むのがスポーツや武道・格闘技を職業になさる方達のあり方であろうと思います。

適切な関節の治療を受けながら、体をケアーしながら取り組んでいただければかなりの障害を事前に阻止する事が可能ではないかと思えてならないのです。