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第9回 臨床レポート

テーマ 「外反母趾」

外反母趾で悩んでいらっしゃる患者さんも沢山いらっしゃいます。
しかしながら、ちまたに氾濫する外反母趾の治療方法には首を傾げたくなるようなものが多々見受けられます。足をちょっともんだり押したりする程度の事、靴さえ替えればという考え方、その場凌ぎの健康グッズの氾濫、はたまた背骨がどうの、股関節がどうのというもっともらしい解説をして治療らしき事をやっている民間療法の数々。現状のままでは、永遠に根本解決には到らないという不安がこみあげてくるのです。

東京都在住 Nさん(70代) 女性

患者さんからのご紹介で始めていらして頂いた時は、普通に歩けばご自宅から当院まで5分もかからない距離ながら、乳母車に掴まりながらそろそろと10分以上も時間をかけていらっしゃいました。その原因は、痛みが酷くなってしまった両足の外反母趾だったのです。

始めて外反母趾の具合を拝見した時は、「よく、こんなにまでなるまで我慢されていたものだな。」という驚きを禁じ得ませんでした。
おそらく病院に行けば直ぐに手術した方が良いと言われるようなかなり酷い変形が起きてしまっていたのです。
ご本人も、手術を勧められたことはあったが、年齢も年齢なので手術はしたくないということで今まで我慢していらしたようです。ただ、ご主人と旅行したり外出したりして楽しみたいという思いを当然ながらお持ちでいらっしゃり、なんとか痛みをあまり感じずに歩けるようにならないだろうかという一縷の望みを託していらっしゃったとのことでした。

外反母趾と言いますと、どうしても靴を悪者にしてしまいがちです。どうして足の指が変形するのかという根源的な原因となると通常の医学では、未だによくわからないために、靴が合っていない、歩き方や筋力の衰え、姿勢が悪いという方向に原因を求めがちになります。しかし、靴を履かない生活をしていても外反母趾にはなりますし、筋力がある若い内でも外反母趾になります。正しく歩きたくても歩けない体になっていれば正しく歩く事は不可能なのです。

そういった事実から遡って考えてみますと、足への体重のかかり方に問題があり本来土踏まずに体重が落ちてこなければならないのに、つま先寄りに極端にかかることに問題があるのではないかと考えるのが常識的な判断ではないでしょうか。では、足の裏にかかる体重が極端に偏る元凶はどこにあるのか?それは、やはり体の土台になる関節、骨盤の「仙腸関節」の機能異常にこそあるということになります。土台の上の上部構造物である背骨の歪みや曲がりに目を奪われていたり、姿勢、歩き方を重視しているようでは的外れなその場凌ぎの治療しか出来ない結果となります。靴を変えたり、健康グッズでその場凌ぎをする方法はあくまでも応急処置であって根本治療とは程遠いと言わざるをえないのです。

言って見れば、ヤジロベエの中心が体で言うところの仙腸関節に当たります。一番重要な中心軸がどちらかの方向に傾けば全体にしわ寄せが来て最後は倒れてしまいます。人間の場合はそう簡単に倒れてしまっては大変ですから、つま先寄りに極端に体重がかかる状態になると、足の親指を三角形に無理やり変形させて接地面積を広げ倒れないように頑張ってくれているのです。変形をさせるためにどうしても、親指の周囲の靭帯や筋肉を緩める必要性が生まれます。しかし、現実には「親指周囲の靭帯や筋肉が緩んだからいけない。だから足のアーチが崩れてしまっているために外反母趾になるんです。」などと「木を見て森を見ず」的なもっともらしい、トンチンカンな健康指導がまかり通っている始末なのです。これでは、永遠に患者さんは浮かばれないのです。

つまりは、「外反母趾になっちゃった。」ではなく「外反母趾にしてまで、体を支えてくれているんだ。私の体よありがとう。今まで無駄な苦しみを与え続けていてごめんなさい。一刻も早く仙腸関節の異常を治して体重のかかりかたを正常にしますからね。」というのが大正解なのです。

Nさんの場合もまさしくそうでした。
私は、最初に「この変形してしまったものを治せと言われても、私は医者ではありませんから形を治す事はできません。しかし、ここまでつま先寄りに体重がかかる体にしてしまった大元の原因を取り除く事は可能だと思います。また、それをやらない限りは永遠に問題は解決しません。まずは、大元の腰をしっかりと治しましょうね。」とNさんに申し上げました。

私の話を聞かれても、Nさんは「なんだか、訳の分からん話をする先生だな?」と言うような不思議な顔をされていました。
1回目のJMIによる治療で、かなり真っ直ぐに立てるようになりご本人も「先生、なんだか背が伸びたように感じがするわよ。不思議ね~。あらっ?親指の痛みが少し楽になったわね。良い感じよ。」とおっしゃっていました。
2回目に来院されたときは、初診時に掴まっていらした乳母車は既に無く、普通に歩いて来院されました。「なんだか、嘘みたいに楽に歩けるようになっちゃったのよ。不思議なのよ。」とおっしゃっていらっしゃいました。実は、3回目まで来院された時まで、Nさんが大変自慢していらした物があったのです。それは、外反母趾用の指にはさむスポンジが付いたサポーターでした。「先生、このサポーター凄く良いのよ。知ってました。池袋の東急ハンズで売ってるんだけどこれしてると痛くないのよ。」とかなりお気に入りでいらして、来院される度に繰り返し繰り返し靴下を脱ぐ度に自慢していらしたのです。

しかし、4回目にいらした時そのサポーターが足から無くなっていたのです。
「あれ?Nさんあのサポーターどうしました?今日は忘れちゃったんですか?」と聞きますと「先生、不思議なのよ~すっかり外反母趾、痛く無くなっちゃたのよ。あれね、いらなくなっちゃったのよ。むしろね、してると違和感があってしてられないのよ。本当に不思議なのよ。」と「不思議なのよ。」を盛んに連発されるのです。「いやあ~不思議じゃないんですよ。最初に申し上げたように腰を、しっかり治したから足への体重の掛かり方が良くなって、痛くなくなったんですよ。」と申し上げても「本当に不思議ね~どうしたんでしょう。余程、先生が私の体に良い事をしてくださったんですね。」とおっしゃるのです。思わず、全身から力が抜けてしまいましたが、なんだか漫才をやっているようで途中から可笑しくなってしまいました。

4回目の治療が終わった後も、変形した足の指はそのままです。しかしながら、痛みは殆ど感じないまでになられたのです。つまりは、立った時に足底に落ちてくる体重のかかりかたそのものが、本来の土踏まずにきちんとかかるようになりほぼ真っ直ぐに立てるようになった為余分な力がつま先の足の親指周囲にかからなくなり歩くのも楽になられたのです。

この例からもわかりますように。外反母趾の原因を「変形したところが悪い。」「靴が合わないから。」「背骨が曲がっているから」「筋力が落ちたから。」などと言っていたら永遠に問題は解決しないのです。例え、外反母趾用の靴に替えたところで異常をきたした大元の腰をそのままにしていれば、体重は永遠につま先にかかり続けます。変形をきたした末端部分を専用の靴で固定し安定させ痛みが出にくくしたところで、何の根本的な問題解決にもなっていないのです。これは、整形外科的な痛み全てに言えることなのですが、物理的に本当におかしくなっている一番重要な場所(仙腸関節)をずっとほっておいて、痛みを一時的にごまかす事を続けていますと、ありとあらゆる所に痛みが生じるようになり、抜き差しなら無い状況になってしまう事があるのです。

これは、結果論ですが、Nさんの場合ももう1~2年早くJMIの治療を受診されていれば、ここまで外反母趾の変形を進行させることは無かったと思うのです。御本人も、この1~2年で急速に足の指の変形が進んだとおっしゃっていました。外反母趾の原因には、やはり仙腸関節の機能異常が絡んでいますし、同時に腰痛も何度か経験していらっしゃる方が非常に沢山見受けられるのです。

また、外反母趾の手術をしたにも関わらず、何度も何度も再発を繰り返しつらい思いをされている方も沢山いらっしゃいます。宝塚出身のダンスが得意な某有名女優さんなどもそうですね。これは、まさに大元の仙腸関節の異常を治していないからこそ起きている悲劇の一つだと私は思っております。仙腸関節が体全体に及ぼす影響の大きさを知っているのと知らないのとではある意味で人生まで左右してしまうことになるのではと、大げさではなく私はいつもそう感じております。今では、Nさんはすっかり元気になられて、ご夫婦で旅行を楽しまれています。

Nさん以外にも、外反母趾で悩んでいらっしゃる方は患者さんの中にも沢山いらっしゃいます。しかし、Nさん程顕著な痛みで悩んでいらしゃらない方の場合は腰痛 の治療をメインでおこなっている間にいつのまにか、外反母趾の痛みも消えてしまい、変形の進行も止まり、外反母趾の痛みで悩むこともあった事さえ忘れてしまっているという方が殆どです。体のバランスを保っている「仙腸関節」の狂い、大元の狂いが末端に痛みとして出てきた典型的な症状が外反母趾の痛みだと言えるのです。体の異常は、まず末端や表面にサインとして色々な形で出てきます。それを見落とすことなくその度に適切な処置を講じていれば大事には到らないのです。そうと判っていても、大元のどこを治せば良いのかが判らないことが医学にもまだまだ沢山あります。整形外科的な分野で起きる多くの体の痛みの原因を、関節の物理的な作用の面から関節運動学は解き明かしたという点でもっと注目され、評価されても良いのではと思えてならないのです。

 

東京都在住 Yさん(50代) 服飾デザイナー

Yさんは、デザイナーのお仕事をなさりながら、週末はダイビングを楽しまれる大変アクティブな女性です。外反母趾の痛みで悩むようになりだしてから、既に40年近く経っているとお話を伺った時は私もビックリいたしました。
10代の半ば頃から、外反母趾の痛みで苦しめられ、手術以外のあらゆる治療、外反母趾グッズを試して来たとおっしゃるのです。
しかし、そのどれも一時しのぎであり根本解決にはならなかったとのことです。

足を見せて頂きますと、両足ともかなり酷く変形が進んでおり親指の動きもぎこちないような状態でした。ダイビングをなさる関係上、重いタンクを背負って岩場を前屈みで歩くこともあり、ますます大きな負担が足に掛かっているのが想像出来たのです。

そこで、早速に治療に取りかかりました。
JMIの一連の操作が終わった段階で、平らな所を素足で歩いて頂きました。
Yさんは、歩き始めた瞬間感嘆の声を上げられました。
明らかに、足底にかかる体重が今までとは違う事を実感されたのです。
「凄いですね。全然違います。これなら治るような気がしてきました。」と力強くおっしゃいました。

2回目の治療にいらした時にお話を伺いましたら、「前回の治療の後、治療院から大塚駅までの道をスキップしたい位の気持ちで思わず小走りに走ってしまいました。嬉しくて嬉しくて仕方ありませんでした。」と満面の笑みでおっしゃるのです。4~5回目の治療が済んだ頃には動きの固かった両足の親指の状態も劇的に改善され「とにかく、歩きやすくなったのと痛みが嘘の様に消えてしまいました。」とおっしゃっていました。そして、「それと、先生。姿勢が凄く良くなったんですよ。なんだかヒップアップしたような自然に綺麗な姿勢で立って居られるようになったんです。毎日、間近でみている主人も確かに変わったねと言ってくれるんです。」と大喜びしてくださったのです。

これは、一にも二にも仙腸関節の動きを本来の状態に戻したことから、体中の関節が自然な動きを取り戻し、筋肉も本来の役目をしっかりと果たせるような環境が整ったからだと思うのです。
Yさんは、外反母趾の痛みから解放され、すっかり良くなられましたが今は月に一度予防の為にいらして頂いている状態です。40年もの間悩まされ続けて来た外反母趾の痛みからJMIの治療でここまで短期間で良くなるという事実を一人でも多くの方に知って頂きたいものだという思いをさらに強くしたのでした。

 

外反母趾の根本原因は、重心が前掛かりになる状態になってしまった事にあります。
体の重心を正しい位置に決めているのが、骨盤の仙腸関節です。
そこが狂ってしまえば、例え今現在異常を感じていなくても、下半身の不具合に100%異常をきたす要因となります。
また、仙腸関節を正確に治さないまま患部の末端だけになんらかの物理的な操作を与え続けても
良くなるどころか、更に悪化させるケースが出てきます。

腰痛の一番の原因とも重なる話でもあるのです。

一方で、仙腸関節と頚椎の関節の異常が重なりますと顎関節症にも繋がる事があります。
痛いところが悪いと言う安易な価値観は、木を見て森を見ずと言わざる終えないケースが現実には
多々起きています。
関節の機能異常は、全身の様々な異常に大きく関わっている事を是非この機会に知って頂きたいと思っています。



腰痛
https://www.painclinical.com/symptoms/165

「椎間板ヘルニア」、「脊柱管狭窄症」、「梨状筋症候群」など

https://www.painclinical.com/symptoms/223

魚の目・たこ
https://www.painclinical.com/symptoms/214

肩こり
https://www.painclinical.com/symptoms/180

顎関節症
https://www.painclinical.com/symptoms/219


治療の世界は、一般の方達が外から見ていでも見えない要素が沢山隠れている世界でもあります。
大量の情報が流れている時代だからこそ、どの様な治療院、どの様な治療法を選択すべきか?
と言う事を決める意味でも重要な要素があります。是非、参考にしてみてください。


院長紹介
https://www.painclinical.com/info


厚生労働省が、腰痛の85%は原因不明と言う報告書を出している事をご存知でしょうか?

意図的なのかどうか知りませんが、マスコミを通して衆知徹底されていないので、知らない方が殆どではないかと思います。
腰痛の85%も原因不明と言うことは、「医療現場では腰痛は治せません。」とバンザイしているに等しいと言うことになります。
腰痛の最大の原因になっているのは、骨盤の仙腸関節だと言う事が、40年も前に明らかにしている賢明な医師がいるにも関わらず、一般的な知識として未だに世間に定着していません。

仙腸関節の物理的な異常は、整形外科的な分野の体の様々な痛みと直結しています。
長年に渡り異常を放置しておきますと、様々な関節の物理的な異常から来る血流不足の影響が内科にも出てきます。

そうした現実を、私も長年治療の仕事を通して幾度も経験して来ています。
初めて耳にする情報だと仰る方も多いと思いますが、この機会にそう言う現実があるんだと言うことに気づいて頂けましたら嬉しく思います。



腰痛対策(厚生労働省)

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